ひよっこ整形外科医の勉強日誌

脊椎脊髄指導医を目指す若手整形外科医が勉強したことや日々思ったことを徒然に書いてます。ついでに誰かの為になれば幸いです。

足底腱膜炎

今回は足の病気についてです。

足底腱膜炎は踵に痛みを伴う病態として最も頻度の高く、また良く歩く人に多い病気です。

特にスポーツにおいては基本オーバーユースにより発症する事が多いため、一時的に軽快しても再発を繰り返すことが多いことでも知られている病気です。

今回はその足底腱膜炎の病態、診断、治療について解説しましょう。

足底腱膜炎

解剖・要因

解剖学的に足底腱膜は踵骨隆起前内側突起から起こり足趾の基節骨底側に付着しており、足の縦アーチの保持の一端を担っています。

発症の要因としては自身の体による内的要因と外傷などによる外的要因があります。

内的要因としては年齢に伴う足底腱膜の柔軟性低下肥満による体重の増加アキレス腱の過緊張に伴う足関節制限などが挙げられます。

外的要因としては不適切な靴長時間の立位や運動外傷の既往などが挙げられます。

世間的には扁平足の方がなり易いと言われていますが、凹足でも足底腱膜の張力が大きくなるため、普通の足でなければ受傷する可能性があると思ってください。

ただし、スポーツ選手に関して言えば次の2つの要因を別途考える必要があります。

  • 足底腱膜がランニングなどで常に収縮を繰り返すことによる牽引ストレスで疲労性に微小損傷。
  • 足底腱膜の踵骨付着部は直接体重がかかる部分であり、付着部が踏み潰されることにより組織損傷。


これを踏まえると発生頻度の高い競技はランニングやジャンプ、踏み込み動作を伴うものであり、陸上の長距離やバスケット、剣道が多いとされています。

症状

典型的な症状は起床時の立ち上がりの1歩目やしばらく椅子に座って歩き始める時の足底の痛みです。

疾痛は歩行により徐々に軽減する傾向にありますが、歩行量などが増えると再度強くなることが多いです。また、つま先立ちで痛みが強くなることが多いと言われています。

スポーツ選手の場合も同じで最初は痛いけど、少し動くと楽になり、さらにトレーニングしていたら走れない痛みになると言われる方が多い印象です。

診断

診断は足底筋膜の付着部である踵骨隆起前内側突起部(下図)の圧痛を確認することです。

ただ、それ以外にあまり所見がない(腫れたり、熱を持ったりすることがない)ため診断が容易とは言い難い印象があります。

レントゲンでも下図のように踵骨骨棘(calcaneal spur)を認めることもありますが、これがあるからといって症状が出るわけでもないため、診断の決め手にはなりません。

診断の決め手になるのはMRIです。

MRIでは軟部組織の状態がよく分かり、足底腱膜付着部の肥厚を確認することやその周囲の浮腫などが分かります。(下図)

ただし、最初の圧痛を確認した時点で治療を開始し、症状が改善することが多いため、MRIまで必要となることはあまり多くないです。(私は患者がMRI検査を強く希望した時くらいにしかしてません。)

治療

治療にはやはり他の疾患と同様に保存加療と手術加療があります。

足底腱膜炎の治療の基本方針は保存加療であり、80~90%が保存加療にて軽快すると言われています。

ただ、一旦症状に改善が見られても再燃したりすることもあり、治療は長期間に及ぶことが多いです。患者さんにはその旨をしっかり納得していただくことが必要となります。

保存加療

安静加療

まず急性期には安静にすることが大事です。

そのためには体重をかけないようにする必要があります。片足であれば松葉杖を、両足となると車椅子での生活となります。

ただ、両足が痛い方はそこまですると生活に支障が出るので「何とか他の方法はないですか?」と言われます・・・

そこでやはり薬物療法を併用することが多いです。

薬物加療

薬物療法で基本となるのは消炎鎮痛薬です。いわゆる痛み止めの事です。

主にNSAIDs(ロキソニン、セレコックス、ボルタレンロルカムなど)という薬を使用します。

また湿布などの外用消炎鎮痛薬も大いに効果が期待できます。

ただし、湿布を貼った状態で歩くのは気持ち悪いため、湿布は睡眠時に使用するよう指導します。

日中は下図のような塗り薬を使用することを勧めています。

装具加療

上記にもあげたように持続する足底腱膜の牽引ストレスや付着部が踏み潰されることが病気の要因でもあるため、足部の形状に応じてアーチサポートや内側ウェッジなどの足底板を使用することで症状の軽減、再発予防が図れます。

当院では下記のような装具を使用しています。引用は中村ブレイスさんからお借りしています。

ただし、これらは患者さんの足に合わせて作る必要があり、整形外科などを受診する必要があります。そんな時間がないという方はまず下記のような簡易的なものを使ってみてはと思います。これ以外にも”アーチサポート”と検索すれば多数出てきます。

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理学療法

理学療法で行うことは主にストレッチになります。

足底筋のストレッチを歩く前、運動する前に必ず行うことで症状が軽減することが期待できます。

下図のようにアキレス腱を伸ばしつつ、足の指先を反らせるだけなので患者さんが自分で出来ます。

注射療法

上記治療を続けても症状が改善しない人や症状が強く歩くのも難しい人には注射を行います。

使用する薬は局所麻酔+副腎皮質ステロイドになります。

ただし、ステロイドという薬は組織を脆弱にする可能性があり何度も注射するのは控えた方がいいと考えます。またスポーツ選手は足底腱膜の断裂のリスクに加えてドーピングが問題になる可能性があるため、注射はオススメしません。

体外衝撃波治療

2012年より保険適応となった治療方法で、足底腱膜付着部に衝撃波を照射する治療になります。

私のいる施設にはこの装置がないため、その治療方法や効果は正直わかりませんが、文献上の治療成績はそこそこ良いようです。

手術療法

保存的な治療に抵抗する症例に対して手術療法も考慮されるます。

しかし、その割合はきわめて少ないです。

手術療法としては直視下や関節鏡視下での足底筋腱膜切離術が行われます。

また、足関節背屈制限のある症例に対しては腓腹筋筋膜を部分切離することで足関節背屈制限を軽減し、踵部痛を軽減するという方法も追加されることがあります。

が、私は手術療法を経験したことはありません。そこまでしなくても治るからです。

 

以上が足底腱膜炎についてです。

最初にも書いてある通り、一旦良くなっても再発ことが多いため、病気と気長に・上手に付き合って頂ければ幸いです。

ではでは!!

 

 

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