ひよっこ整形外科医の勉強日誌

脊椎脊髄指導医を目指す若手整形外科医が勉強したことや日々思ったことを徒然に書いてます。ついでに誰かの為になれば幸いです。

いきなり腰が痛い!足が痛い!椎間板ヘルニア?

まず、ヘルニアとは何か?

「臓器や組織の一部または全部が正常な位置から脱出した(突き出た)状態」

のことを指します。

実は脱腸もヘルニアという病名がつきます。そのため、整形外科のヘルニアは正式には題名にある通り椎間板ヘルニアという名前になります。
では、まず椎間板ヘルニアの説明を始めましょう。

疫学

実は腰椎椎間板ヘルニアの症状などは腰部脊柱管狭窄症の症状と凄く似ています。それは脊柱管が狭くなるという状態自体は変わらず、要因がヘルニアによるものだからです。詳しくは下の病態をみてください。

ではその違いは何か。

一番大きな原因は発症年齢が若いということ。20〜40代に好発し、人口の約1%が罹患することが分かっています。

また何故か男:女は2−3:1と男性に多い特徴があります。

一方腰部脊柱管狭窄症は変性疾患のため、発症年齢が高齢であり、男女比はあまりありません

病態

椎間板は背骨である、椎体と椎体の間にある軟骨を指します。

中心部に髄核と言われる硬い部位があり、その周囲を線維輪という膜で覆っています。

椎間板は加齢に伴い栄養・代謝に変化が起こること、また人間は二足歩行でもあるため、椎間板への長軸方向へのストレスを常時受けているためで10代後半から傷んでいきます。

この傷んでいる椎間板に長軸方向への急激な物理的なストレスが掛かることで線維輪に小さな亀裂や断裂が生じ、そこから変性した髄核が脊柱管内へ膨隆、脱出することで椎間板ヘルニアは生じます。

 

青い矢印が椎間板、赤い矢印の部分がヘルニアになります。特に下の写真では線維輪を破っているのがよくわかります。

この様に脊柱管にヘルニアが出てくると脊柱管内にある脊髄や馬尾神経(脊髄と馬尾神経に関してはこちらの中の症状の項目を御覧ください)に当たってしまい、下肢症状が出ます。

なお、長軸方向への急激なストレスというは

  • 重たいものを持つ
  • 無理な姿勢を長時間保つ(長時間の車の運転も含む)
  • 同じ姿勢を長時間した後、急に動く
  • スポーツで急に向きを変える
  • 高いところから飛び降りる

など様々ありますが、皆さんが考える腰が痛くなりそうなことを考えて頂くとそれらは大体当てはまると考えてください。

症状

症状について説明しましょう。

特徴としては急激な腰痛が最初に出現することです。

さらに、脊柱管内飛び出したヘルニアが神経に当たることによる神経症状が出現します。神経症状としては下肢痛や下肢の痺れが出ます。ただ、腰部脊柱管狭窄症と違い、痺れよりも下肢痛の訴えが強く出ることが多いです。

腰痛

腰痛の要因は以下のものが考えられています。

椎間板内圧による椎間板周囲の疼痛受容体周囲への刺激

本来、固い髄核が変性すると柔らかくなり、体積が増えます。すると椎間板の内部の圧力が高くなり、椎体を押します。椎体の辺縁には疼痛受容体が多いため、この刺激により腰痛が出現します。

椎間板の静的環境の破綻

椎間板は背骨である椎体の間に存在しており、腰を曲げたりする時の緩衝材であり、また椎体とともに体重を支えています。

しかし、椎間板が痛むことで体重を支えることが難しくなります。その分、体重を別のもので支える必要があり、傍脊柱起立筋や棘間靭帯への負荷が大きくなります。ただ、普段支えている以上のものを長時間支えることはできないため、同部の血行障害などにより疼痛が出現します。

後根神経節におけるChemical factorと関与した疼痛

脊髄から枝分かれする神経の中は主に2つの分類に分けられます。前根と後根と呼ばれます。前根は運動神経路であり、後根は知覚神経路となります。後根には神経節と呼ばれる感覚情報の中継点があります。ヘルニアなどにより異常刺激が持続することでこの中継で痛みの信号が多くなり、強い腰痛と感じることがあります。

神経症

神経症状は椎間板ヘルニアが脊髄や馬尾神経(神経根)に当たることで症状が出ます。そのため、ヘルニアの出ている状態によって症状が変わります。

やはり、主に臀部や下肢の症状が出ます。

その症状は実は腰部脊柱管狭窄症と似ているため、一度、こちらの症状の欄をご覧いただければ幸いです。

症状はやはり神経根症状と馬尾症状の2種類があります。

神経根症状

腰部脊柱管狭窄症の様にどの範囲にも起こることがありますが、腰椎椎間板ヘルニアの場合は(外来での診察をする限り)2つの場所で起こることが多い印象です。

それは第4腰椎と第5腰椎の間、そして第5腰椎と第1仙椎の間の2箇所です。

これはL4/5椎間板ヘルニアです。

で、これはL5/Sの椎間板ヘルニアです

実際、疫学的にもこの2つで約95%を占めるというデータもあります。

(http://comedical.blog23.fc2.com/blog-entry-56.htmlからお借りしました。)

症状としては上記の皮膚分節に沿って出ます。

第4腰椎と第5腰椎の間ではL5神経の症状が、第5腰椎と仙椎の間ではS1神経の症状がでます。

個別に説明するとL5神経症状とは

  • 大腿から下腿の外側の痛み、しびれ。
  • 足関節を屈曲(背屈)する力が弱くなる。『下垂足』
  • 足の親指が挙げにくくなる。

一方、S1神経根症状は

  • 大腿から下腿の後面(太ももの裏側やふくらはぎ)の痛み、しびれ
  • 足関節を伸展(底屈)する力が弱くなる。(つま先立ちができない)

といった症状が出てくることが多いです。

馬尾症状

腰椎椎間板ヘルニアでは腰部脊柱管狭窄症と異なり、馬尾症状は出にくいです。

それは馬尾を全周性に圧迫するほどのサイズのヘルニアはあまり出ないこと、前述の通り、L4/5、L5/S1が95%を占めており、それより上位でのヘルニアがあまり多くないことが要因です。

でもこんな感じのヘルニアはやはり馬尾症状が出ます。

これはL2/3から上行し、脊柱管の狭窄を来している症例です。

この患者さんの症状は歩行時の両臀部痛、両下肢の後面の疼痛・しびれでした。

このように、少数ではありますが、腰椎椎間板ヘルニアでも馬尾症状は出る可能性があります。馬尾症状に関してはこちらを参照頂ければ幸いです。

 

次回は治療について説明していきましょう。

ではでは!

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