ひよっこ整形外科医の勉強日誌

脊椎脊髄指導医を目指す若手整形外科医が勉強したことや日々思ったことを徒然に書いてます。ついでに誰かの為になれば幸いです。

歩くとお尻が痛い、足が痺れる。腰部脊柱管狭窄症って治るの??手術をしない方法

歩いた時にお尻が足が痛くなったり痺れる病気として腰部脊柱管狭窄症が挙げられます。その病態、症状に関しては前回の記事を御覧ください。

今回はその病気に対し、どの様に治療を行うのかについて説明していきましょう。

まず、大前提として

『脊柱管が狭くなっている状態を手術以外で広げることはできない』

もちろん、運動療法により体幹が鍛えられると相対的に脊柱管が広くなることはありますが、原則上記となります。 

そのため、外来診療で行う治療(保存加療)というのは基本、対症療法となり、それは以下の4つに分類されます。

薬物療法

装具療法

ブロック療法

理学療法

個別に説明していきましょう。

薬物療法

どういった症状に対し、どういった薬を使用しているのかを挙げていきます。

疼痛に対して

NSAIDsロキソニン、セレコックス、ボルタレンロルカムなど)

本当に一般的で整形外科ではよく使われる痛み止めです。これは炎症を取る薬となっているので局所によく効くのが売りです。

アセトアミノフェンカロナール

この薬のいいところは容量を守れば小児や妊婦さんでも使用できます。主に脳が痛みを感じにくくなることで疼痛を抑えてくれます。

上記でも全然よくならない、効かないという方には以下の薬を処方します。

トラマドール(トラマール)

これは非麻薬性鎮痛剤という種類に入る薬になります。本当に上記の薬が効かない場合にしか使わないです。主に痛みの信号を受け渡しするのを阻害します。

トラマドール/アセトアミノフェン(トラムセット)

これはトラマドールとアセトアミノフェンの合剤になります。飲み薬ではこれが一番強いです。ただ、その分副作用も強いため、それを抑える薬も同時に処方します。眠気、吐き気や便秘が多いです。

痺れに対して

プレガバリン(リリカ)

これは神経細胞の過剰興奮を抑えることにより疼痛、痺れを抑えてくれます。しかし、他の薬より副作用も出やすい印象があります。ふわふわする感じや眠気、浮腫(体重増加)などを訴える方が多いです。そのため最初は体を慣らす目的で少ない量から初めて徐々に量を増しています。

ビタミンB12メチコバール

文字通りビタミン剤です。神経細胞酵素の働きを助ける効果があります。つまり、神経を元気にしてくれる薬剤です。残念なのが効果が出てくるまでには結構時間がかかるのと、それほど劇的な改善は期待できません。ただ副作用がほとんどないという利点があります。

プロスタグランジ(オパルモン、プロレナール)

末梢血管拡張作用により馬尾神経などへの栄養、酸素の補給を促してくれます。血液を少しサラサラ(固まりにくく)するため、出血が止まりにくくなることが難点です。手術の前などでは薬を止める必要があります。

 

装具療法

コルセットや腰部固定帯などの装具は運動制限や姿勢保持のためには有用であり、

腰椎を安定させることで疼痛の緩和にもつながるために使用します。

基本はマックスベルトのような腰部固定帯を処方します。

https://www.sigmax-med.jp/medical/products?syllabary=m

ただ、元々腰椎のアライメント(形状)が悪い方、例えば側彎症やすべり症がある方にはもう少し安定感が強いダーメンコルセットを処方します。

http://www.itouseikei.com/sports/supporter03/index.htmlから写真を頂きました)

ちなみにもっと強い硬性コルセットというのもありますが、これは腰部脊柱管狭窄症にはあまり使用しません。

単純に着けているのがシンドイんですよ・・・

ブロック療法

上記の2つ+運動療法でも改善しない場合に行う事が多いです。

局所麻酔剤およびステロイド剤を神経またはその近くに注入し、痛みを軽減させる治療となります。

主に2つの方法があります。

仙骨硬膜外ブロック

これは診察室でも行えるものなため、外来でもよく行われます。

仙骨裂孔と言われる部分から脊髄の外側に存在する硬膜外へ局所麻酔を注入する治療です。硬膜外というのは脊髄や馬尾神経が入っている袋(硬膜)のすぐ外側のことです。

開業医さんでもよく行なわれているブロック注射です。

神経根ブロック

これは神経根そのものに針を刺す手技です。

骨の形などを見ながら神経根がある位置を予測する必要があるので、診察室では行えず透視室という特殊な部屋でないと行えません。そのため大きな病院でないと行うことは難しいです。

またこの手技は治療でもありますが、検査でもあります。

針を刺すことで痛みの再現性があるか、注射後に痛みが改善するかで今出ている痛みがその神経根によるものかどうかが分かるからです。

ただ、この治療はとても痛いです。なので手術を考えている方にする事が多いです。

それも踏まえてブロック療法は基本何度もする手技ではないです。一旦症状が落ち着いても再燃するようであれば手術を勧めます。

やっても2回と私は考えています。

理学療法

長期にわたる神経障害により支配領域の血流障害や組織の柔軟性が減少している事が多いです。

そのため、温熱療法、電気療法、運動療法を行うことで末梢の血流が改善したり、組織の進展性が増加することで症状が改善する可能性があります。

しかし、これは患者さんの努力が必要です。外来でリハビリするだけではなかなか改善しないことが多く、自宅でも継続的に運動療法を継続していただく必要があります。

興味がある方は是非近隣の整形外科(病院よりもクリニック)を受診していただければと思います。

 

次回はどんな時に手術をするのか?について説明していきます。

ではでは!!

 

 

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